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日本で初となる実運航船を用いたサイバー攻撃への船舶防御演習を実施

〜高専生38名、企業15社30名が参加し、海事サイバーセキュリティへの対応力を強化〜

 国立高等専門学校機構高専(広島商船、仙台、高知、木更津、石川)は、一般社団法人日本舶用工業会と株式会社ラックと共同で、「海事サイバーセキュリティセミナー2023」を広島商船高等専門学校(広島県大崎上島町)において、202371日、2日、5日に開催いたしました。当セミナーは、専門家が少ない海事サイバーセキュリティ人材を育成する目的で開催し、国立高等専門学校機構が、業界団体と民間企業と共同で行いました。日本国内で実運航船を用いたサイバー攻撃への船舶防御演習の実施は初めての取り組みとなります。

■ 開催背景

 船舶における通信は、大量常時接続が一般的となり、制御機器等の自動化が進みつつあります。さらに、船舶のサイバーセキュリティに関する国際的な規則が制定間近である中、より一層のサイバーセキュリティの実装が喫緊の課題となってきています。また、公益財団法人日本財団が進める「MEGURI 20402040年には国内を走る船の50%が無人運航船となることを目指した無人運航船プロジェクト)」を支える人材育成も急務となっています。一方で、国立高専専門学校機構では令和2年度より、「高専発!「Society 5.0型未来技術人財」育成事業 COMPASS5.0」により、全国の高等専門学校でSociety 5.0の社会の中心であるデジタル化に対応した基盤教育の見直しと高度化を図ってまいりました。当セミナーは、社会課題である「海事サイバーセキュリティ」の実装について、高専生と実装を進める企業とワークショップを通じ、海事サイバーセキュリティ人材の育成につながる一助とすべく、企画されました。

■ 開催概要

 全国から普段交流のない情報学科・商船学科の学生が38名(函館高専、一関高専、仙台高専、木更津高専、富山高専、石川高専、和歌山高専、香川高専、広島商船高専、熊本高専)、一般社団法人日本舶用工業会会員企業1530名が集まり、講義・演習・船上実習を一緒に実施いたしました。

 今回のセミナーでは、サイバー攻撃対象である船舶の機器を製造する業界団体である一般社団法人日本舶用工業会とサイバーセキュリティを専門とする株式会社ラックの協力のもと「船のIoT化に伴うサイバーセキュリティの重要性」への理解を深めることを目的に、学生が実運航船のサイバー攻撃のデモとその攻撃に運航チーム・陸上支援チームがどのように対応するのか(インシデントレスポンス)を計画し、実践しました。

■ 参加者からの声

 当日参加した高専生38名中38名が、サイバーセキュリティに関して、理解が深まったと回答しました。

【参加学生から】

● 船を動かすうえで重要な位置情報がたった一行のプログラムで信用できない状態にされてしまうことに驚き、今後船舶機器がネットワークに繋がっていく中でサイバー攻撃の対策がさらに重要になっていくと感じた。 また、実際にハッキングされたときの対応をしてみて、慌てることで準備していた動きが出来なかった。実際にやってみることで事前に準備していた手順通りに行かないことが分かった。 何も決まっていない状態から対応を考える経験は初めてだったので、対応を考える難しさや実際にやってみると想像以上にうまく行かないことなど、学びが多かった。

● 情報系ではない人と、インシデント対応を行う難しさを学んだ。また商船高専の学生がインシデント対応している様子を見てインシデント対応側の緊迫した状況を見ることができた。 船舶の分野のセキュリティはまだ進んでいないとおっしゃっていたが、他にもまだセキュリティが進んでいない分野があるのではないかと考えるきっかけになった。

● 実習でサイバー攻撃が簡単に行えること、またインシデント発生時の商船学科の学生さんの反応を実際に見たことでサイバー攻撃の恐ろしさを実感しました。データの分析や人員削減の点から船のDXは今後進んでいくと思われるが、それに伴いサイバー攻撃にも備えていく必要があり、そのために船のエキスパートとセキュリティのエキスパートで協力していくことが大事だということが講義や他高専との実習を通してわかりました。

【参加企業から】

● 企業は実際の機器のセキュリティテストやインシデントトレーニングをする場が必要で、それが高専の実学の場でコラボレーションできればと思いました。

● 実践的でよいと感じた。学生と産業側(特に航海士、機関士)のワークショップがもっと盛んになればよいと感じた。

● 学生さんが真剣に対策を考え、実行する姿が印象的でした。回を重ねるごとにロールプレイも様になっていてよかった。

● 非常によく練られ勉強になるセミナーでした。船舶×セキュリティの人材は現在少なく、需要も多く、このような機械で若い学生さんに実イメージ持っていただけたこと大変貴重でした

  • 実施内容

7114時~

講演1「海事におけるIoT、システムインテグレーション、サイバーセキュリティ」株式会社MTI 安藤 英幸氏

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講演2「(講演題目)海事サイバーセキュリティ」株式会社ラック 竹内 正典氏

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講演3「船舶に対するペネトレーションテスト実習」株式会社ラック 今井 志有人氏

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16時~ ワークショップ

ワークショップ(情報系学科学生向け)「JSMEA会員企業の方々と学生との船舶に対するペネトレーションテスト実習」株式会社ラック 今井 志有人氏

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ワークショップ(商船系学科学生向け)「JSMEA会員企業の方々と学生との船舶におけるIRP(インシデントレスポンスプラン)策定演習」株式会社ラック 竹内 正典氏

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72

10時~ 広島商船高専 練習船広島丸によるサイバー攻撃に対する船舶防御演習

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成果報告会

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各高専等でのリリースはこちら:

K-SEC:https://k-sec.kochi-ct.ac.jp/topics-news/info-1.html

木更津高専:COMPASS5.0サマースクール「海事サイバーセキュリティセミナー」(学生取材記事) | 木更津工業高等専門学校 (kisarazu.ac.jp)

一関高専:https://www.ichinoseki.ac.jp/news/gakuseijoho.html?id=2212

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